1.18 妻が荷物をまとめて家を出ていきました。
まだ外が明るくなる前の早朝に目が覚めると、隣にいるはずの妻がいない。寝ぼけまなこで眼鏡をかけ、部屋の反対側に目をやると、妻がいそいそと何かをやっていた。
目をこすり、もう一度よく見ると、スーツケースが。目の前の光景が夢か現実か分からないまま、彼女を荷物をまとめて部屋を出ていく。
まだ思考に靄がかかっていたけど、彼女を止めることはもう出来ないことははっきり理解していた。
彼女は僕に家を出ていくことを告げていた。
あれは数日前だったろうか。僕はあの時止めることが出来なかった。そして、淋しい想いを胸に秘めたまま、とうとうその時が来てしまったのだ。切ない想いは抑えられるが、溢れ出しそうな涙は抑えることができない。
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仕事も生活もこれからだっていう時に、病気になってしまった。でも、愛する人が側で支えてくれたからここまで乗り越えてこれた。これからもずっと一緒だと思っていた。周りから見ても理想の夫婦だったはずなのに。。。
小室さん、引退発表したそうですね。
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妻は僕から離れていってしまった。もう手は届かない遠い遠いところへ。朝出て行ったばかりだというのに、夜になると淋しさに押し潰されそうになる。震える背中に気付いたのか、愛犬が寄ってきて、慰めるかのように僕の足を舐めてくれた。
僕はきっと大丈夫。
君がいない夜をきっと越えられるさ。
だから、もう僕のことは気にしなくていいよ。
お義母さんとの温泉旅行楽しんできてね!
明日帰ってくるの待ってるからね!
お土産に箸を買って帰ってきてほしいことを伝え忘れた。