1.6. サラバ! 西加奈子
正月、西加奈子さんの『サラバ!』を読んだ。これは、第152回直木賞を受賞した作品です。僕が入院している時に、移動図書館が来てくれて、借りたけど、体調が悪すぎて全く読めなかったという僕にとっては、曰くがついた作品。
主人公「歩(あゆむ)」の半生を、イラン、大阪、東京、エジプトなどを舞台にし、家族との関わりや友情、そして自分自身の内面性にフォーカスを当てて書かれた作品です。
とにかく主人公の姉のインパクトが強くて、読者へも主人公へも影響を与えるんですが、紆余曲折を経た後の2人の再開には、衝撃を与えられました。
僕は、下で出てくる「姉」の台詞「あなたが信じるものは、あなたが決めなくてはいけないの。」が心に突き刺ささり、沁みて栄養になりました。その台詞が読者の心に突き刺さるように、その意味に集約されるように、物語が展開されているように思いました。
ある意味、どこかで聞いたような、または自分自身の中に見つかりそうな、変哲はない台詞ですが、この短い台詞に詰め込まれた想いは、きっと読者の心を動かすのだと思います。